インターナショナルスクールといえば、まっ先に頭に浮かぶのは芸能人。木下優樹菜さん、小雪さん、梨花さん、吉川ひなのさん、紗栄子さん、伊東美咲さん……。
例を挙げたら枚挙にいとまなし。
それにしても、タレントママや女優ママたちはキチンとした考えがあって、子どもをインターナショナルスクールに通わせているのでしょうか。
友人夫婦(国際結婚)も、子どもを歴史のあるインターナショナルスクールへ通わせています。このケースはよくわかるのです。彼らの子どもは二重国籍児童だし、いつ海外へ引っ越すかわからない。同様に、帰国子女が自分と同じように子どもを海外の大学へ進学させたいからと、インターナショナルスクールを検討するのもまあ、わかる。
けれど、英語なんてろくすっぽ話せもしない日本人の両親が、わが子をインターナショナルスクールに入れたがる、というのはあまり理解できないのです。うちの娘は大和撫子(ヤマトナデシコ)なのだから、大和男児(ヤマトオノコ)と机をならべるべきだ、とか思うわけです。
あと、日本の教育システムのほうが、日本人の彼女にはフィットするはずだ、とも。
そんなふうに考えていたら、ある大きな問題に直面しました。考えてみたら、インターナショナルスクールの実態を、自分はなにも知らない。否定するだけの論拠がない。
インターナショナルスクールの利点と欠点、
庶民の子が通うことの是非
グローバル化した世の中で、世界を股にかけて活躍する大人になってほしい。こんなふうに考えて、子どもをインターナショナルスクールに入れたがる日本人親が増えているようです。
しかし、こんな薄ぼんやりとした動機でもって、子どもの大切な将来を左右する選択を、親が勝手にくだすのは非常にまずい。インターナショナルスクールの特徴と利点と欠点を知れば、考えが変わるかもしれません。
1.英会話学校ではない
インターナショナルスクールというのはそもそも、在日外国人のための教育施設です。入学すれば、子どもが英語ぺらぺらになる、と考えている方がいますが、misunderstanding!
英語で勉強する学校です。全授業、英語です。英語を身につけるために入学しようというのは、順番が逆。それ以前に、多くのインターナショナルスクールでは、入学条件に「海外の学校に3年通っていた程度の英語力」を掲げています。
2.家庭で英語力を身につけさせる必要がある
英語で読み書きできないと落ちこぼれます。これを回避するには、自宅で英語力を鍛えてあげるほかない。
国際結婚夫婦のように、片親がネイティブスピーカーで、家庭で英語が日常的に飛び交っているような状況ならなんら問題ありません。が、そうでない場合、入学前から入学後しばらくは英語の家庭教師が必要です。英会話スクールに通わせる、という手もあります。
どっちにしろ、これだけで年間数十万の出費です。
当然ながら、学校関係者は外国人が多く、やりとりは英語。書類も英語だったりしますから、父母のどちらかはしっかりした英語力が必要。さきほどの「misunderstanding」の意味が「思い違い」だとわからなかった親御さんは、ご自身も英語力を鍛える必要があります。
もっとも、それを苦痛と感じるか、自分磨きができて楽しいと感じるかは、その人次第。現に、子どもをインターナショナルスクールへ入れると決めて、自分も英語の勉強を始めたら楽しくなり、以前は苦手だった海外旅行にも積極的に行くようになって人生ハッピー、という親御さんもおられますからねー。
3.とにかく学費が高い
ほとんどのインターナショナルスクールが、日本の義務教育とは無関係に運営されており、国の認可を受けていません。だから、助成金がもらえない。
学費が高いのは、覚悟が必要です。
相場は、
・入学金30万円。
・年間授業料200万円。
・教材や管理費などでウン十万。
寄付金を求められるところもある。
サマースクールを開催する場合、別費用。
さらに、後述するように、インターナショナルスクールへ入学するためには、幼児期から英語保育園に通わせる必要があります。英語保育園も、日本の認可保育園ではないですから、
年間保育料100~200万円。
合算すると、
小学校卒業までに最低2000万円。
が必要です。
中学部、高校部へ進学すれば、さらにこれ以上の学費がかかります。高校部卒業後は、ほとんどの子が海外留学します。海外留学費用の目安は、1年で200~350万円といったところです。
子ども1人分の教育費で、都内でファミリータイプのマンションが買えますね。郊外なら、わりと広めの庭付き一戸建てが建てられます。
インターナショナルスクールの保護者に、お金持ちの外国人(外交官や企業幹部など)や、医者や弁護士、芸能人が多いのも納得ですね。
※授業料はあくまで目安。もっと安いところもあります。
4.欧米の教育カリキュラムを導入している
インターナショナルスクールは、教育カリキュラムは欧米のものが中心。文部科学省が策定した「学習指導要領」は無視しています。
子どもをどうしても海外の大学に進学させたいなら、インターナショナルスクールという選択肢もアリです。実際、卒業後はハーバードやコロンビア、ケンブリッジ、バークリー音楽大学といった外国の名門校へ進学するケースも少なくないようです。
この場合に注意したいのは、「国際バカロレア資格」という、グローバルな大学入学資格が得られる学校(くわしくこの記事に書きましたが、ひらたくいうと国際的な大検資格です)を選ぶと◎です。
国際バカロレア資格を持っていれば、海外の大学を直接受験できます。一定の成績以上の子なら、海外の名門大学に入試免除で進学できることもあります。
が、海外留学を明確にイメージしていなかったり、日本の大学でもいいかな、とか考えているなら、わざわざインターナショナルスクールに入れる必要はありません。へたすると、卒業しても大学受験資格がなく、「大検」を受けなきゃならない、といった状況になりかねません。
※上智大学など一部大学は、インターナショナルスクール出身者も、帰国子女枠で受験できます。
5.スクールによって、教育レベルや学力差が大きい
しっかりとした教育理念をもち、優秀な教員をそろえ、一人ひとりの子どもの能力や特性に合わせた丁寧な指導をおこなっているところもあります。こうしたインターナショナルスクールは日本の名門私立のように設備も整っていることが多い。
反対に、公立の学校より設備が不十分で、教員資格のない外国人を集めて、カリキュラムも決めず、テキトーな授業をおこなっているという、駅前留学的な学校も実際に存在しているようです。
6.日本語力が育たない心配がある
インターナショナルスクールでは、学校の先生はもちろん、友だちとも基本的に英語で話します。また、日本の学校で習う「国語」は、インターナショナルスクールでは「日本語」となり、外国語扱い。平均で週2コマほどしかありません。日本の小学校の場合、国語の授業時間は週5~8コマです。
7.日本の学校への編入が困難なことも
文科省の見解によれば、インターナショナルスクールの小学部を卒業後、日本の中学校へ入学したり、同小学部から日本の小学校、同中学部から日本の中学校へ編入したりすることは基本的にできないということになっています。
「学教法」で定められた就学義務を果たしておらず、日本の小中学校の卒業資格をもたない児童・生徒だからです。市町村によっては、義務教育違反のかどで、どうして日本の小中学校に普通に通わせないのか、親に問い合わせするところもあるそうです(ま、都会ではまずないでしょう)。
ただし、実際のところは小中学校への途中編入はできるそうです。高校については、受験させてもらえないところもあります。が、たいていは帰国子女枠でなんとかなるケースが多いようです。
結論
ここまでインターナショナルスクールの特徴、長所と短所をつぶさにみてきました。では、最初に掲げた「問い」を解いてみることにしましょう。
問い
庶民的な生活を送っている日本人家庭にとって、インターナショナルスクールは、ステイタス感と優越感を感じる以外になにかメリットがあるのか? ないのか? むしろデメリットのほうが大きいのではなかろうか?
解
普通の日本人の親御さんが、5000万円もかけて子どもをインターナショナルスクールへ押しこむ理由はみつかりませんでした。日本の国はもうダメだから、子どもは将来、海外移住させて、向こうで仕事をみつけさせるとか、そういう明確な目的意識がないかぎり、無意味でしょう。
これからの日本人には国際感覚が必要、とよくいわれます。インターナショナルスクールでこの国際感覚が身につく、ともいわれています。
が、そこで手に入る国際感覚というのは、外国の文化や生活習慣、思考の枠組み、価値観を知る、というようなことで、たしかに外国人とのコミュニケーションは上手になると思いますが、それは本物の国際感覚ではない、とぼくは思っています。
どういうことかというと、国際感覚というのはむしろ、パトリオティズム(愛国心)のなかから芽吹くものだからです。自分が生まれ育った土地への愛着、民族愛、それらに裏打ちされた歴史認識や民族的文化への理解と矜恃。そういう日本人としての核を身につけることで初めて、外国人と対等につきあえるし、彼らのリスペクトが得られるのです。
外国人と話していると、祖国意識というものをいつも感じるし、彼らは、多くの日本人が祖国への帰属意識が希薄であることを不思議がります。
国際感覚なるものを子どもに身につけさせたいなら、まずはひとりの日本人として、しっかり育てることを考えるべきでしょう。
小さいころからへたにインターナショナルスクールなどへ行き、外国人先生から海外の教育を受けたり、外国文化にどっぷり浸かっていたりすると、日本人ならだれしも持っている、歴史・文化面の共通認識が育たないし、日本人としての心――そう、大和魂が醸成されないという心配もあるのではないか、とぼくは思うのです。
外国の教育システムは、学問とならんで、祖国や民族社会への帰属意識をしっかり身につける、ということも大きな目的のひとつになっていますからね。
出典: こどもブログ
インターナショナルスクールは日本国内の義務教育とは別物
インターナショナルスクールは日本国内の義務教育とは全く別物です。海外の教育を導入しているため、文科省には認可されていないところが殆どです。では、誰が学校を評価してくれているのか?インターナショナルスクールの認可には、「国際的評価団体」評価が基準となっています。
インターナショナルスクールには、「国際的評価団体」による、数年に一度の厳しい審査を受けることで、評価されています。数年に一度インスペクションをすることで、「常に高いクオリティー」を維持できるようになっています。
近年でも、学力低下が目立つ学校は、国際評価団体から認可を剥奪されてしまったり、通常5年更新が2年しか更新されなかったりと、とっても厳しくなっています。
インターナショナルスクール評価団体の一例
WASC(Western Association of Schools and Colleges)
CIS(Council of International Schools)
ACSI( Association of Christian Schools International)
ECIS(European Council of International Schools)
どこの国際的評価団体に認可されているかは、とっても重要です。
出典: チャイビ
注意したい義務教育違反
インターナショナルスクールは、海外からの駐在員のために開校した歴史的な経緯があります。
そのため日本の教育とは違い、英語やフランス語、ドイツ語などで指導でき、カリキュラムや指導方法を自由に選択してきました。
日本は憲法の三大義務のひとつに「教育」があります。
そのため日本国籍を持つお子さんは、義務教育を受ける必要があります。
義務教育は、小学校・中学校をイメージするとわかりやすいですね。
日本国籍を持つお子さんが小学校・中学校をインターナショナルスクールに通うと厳密には「義務教育違反」となります。
しかし、例外もあり例えば二重国籍を持つお子さんや海外からの帰国生などはインターナショナルスクールに進学することが増えています。
それは将来海外で生活する可能性があり、英語やその他の言語で学ぶことが合理的だと判断されるからです。
海外で幼稚園から小学校まで通ったお子さんが急に日本に帰国し、中学校から日本語で学ぶのが難しい場合などが挙げられます。
そのため幼児教育のプリスクールやキンダーガーテンは、義務教育違反にならず英語と国際文化に触れられるため人気になっています。
インターナショナルスクールの高等部から入学を希望しても、小学校・中学校を日本語で学んできた生徒が「英語」で社会や物理を理解するのは難しいため現実的ではないと考えられています。
日本国籍を持つお子さんがインターナショナルスクールの小・中・高に入学させたいと思う場合、かなりの覚悟が必要です。
日本の教育に戻れない、と覚悟する必要があります。
もちろん、学費も日本の学校に通わせるよりもはるかにかかります。
「プリスクールは気軽に。インターナショナルスクールは、慎重に」が日本のインターナショナルスクール事情といえます。
出典: インターナショナルスクールタイムズ版